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日々の出来事

2018/06/17

ローマ路地裏歩き

ローマに向けて出発する日の朝、ミラノのガイドから電話が入った。「ローマで大雪が降って、ミラノからローマに向かう電車がキャンセルになった。最悪の場合ローマの空港に迎えに行けないかもしれない」想定外の天気に愕然!日本よりも1ヶ月は早く温かくなるイタリアなのに、大雪とは!しかも、もう成田に来てる、服装は春のつもりで防寒対策はしてない!このまま行くしかない。なんと悪天候に見舞われたイタリア旅行の始まり。ローマの街にはまだ雪が残っていた。

いきなり、トイレの写真でゴメン!あまりに珍しいので写真に撮った。何が珍しいかというと、便器の上にホーロー引きのビデがついている。通常、イタリアのホテルでは便器とビデは別になって横に並んでいるのに、一つになっている。ガイドに聞いたら初めて見たという。(イタリアのトイレ事情はこちらを参照)ずーと昔はこれがふつうだったのか?ローマ駅のすぐ近くの中心街にあるホテルなのにかなり古めかしい。

一緒に行く友人が「ヴァチカン市国に行きたい」というので、ローマから南にいくことになった。ツアーで行った時のあの長蛇の列を思い出すとげんなりする。「すごく混むよずっと並ぶんだよ」と脅しても行くと言うのでローカルガイドに2人を預けて、私はスルーガイドと一緒に裏通りを歩くことにした。と言っても、ローマの中心なので、どこを歩いてもすぐに観光名所に行き当たる。ローマ三越の通りを歩いていたらオペラ座発見。朝なのでひっそりとしている。

「古いものは下にある」とは、イタリアで古い時代のものを探す時の方程式。新しい街は古い街を埋め立てて作られていくので、そうなるらしい。道路より低いところに古めかしい建物を見つけたので降りてみた。屋根に十字をつけているので教会のようだが、正面飾りが全くなくまるで倉庫のよう。入り口にポスターが貼られ「Basilica San Vitale」と書かれているので間違いなく教会なのだ。4世紀に創建されて、なんども修復され今日まで続いてる。ある意味すごい。

レンガの建物はヴェネチア宮殿、前の駐車場がヴェネチア広場。ガイドがあのベランダを指して「ムッソリーニのベランダ」と言った。ドイツ・日本と同盟を組んで国民を戦争に駆り立て破滅の淵に追い込んだファシスト党の指導者のこと。ムッソリーニがあのベランダから国民に向かって演説したから、そう言われてるらしい。後日別の場所でもう一度その名前を聞くことになる。

半円を描いた塀に張り付くように建物がはまり込んでいるので、あまりにもおかしくて写した。イタリアでよくある、昔の壁をそのまま利用して建物を作るそのものなのだろう。この遺構が何かわからないがマップで探すとその場所に"Terme di Agrippa"と記されていたので目印としてそう記しておく。

私たちが訪れた時期はイタリアの総選挙の最終盤だった。どこかで選挙演説にでも出会えるかと期待していた。 誰かがマイクで喋ってるような気がしたので、声の方に行ってみた。すぐに人の姿が見えたが、あら!?人だかりなどなく、数人の人が、小さなメガホンで喋ってるだけ。ちょっと拍子抜けした。なにやら「格差が広がった」と訴えているとガイドが説明してくれた。誰に向かって喋ってるの?と聞くと、国会議事堂だという。目の前の建物が国会議事堂。日本のようにぐるりと塀で囲って国民から切り離すような風ではない、ちょっと行けば入り口で物々しい警備もないのだ。議事堂と道路の敷地を分けるのは石畳に埋め込まれた☆印のようだ。国会議事堂の横には首相官邸がありその前のコロンナ広場には2世紀に作られたマルクス・アウレリウスの記念柱が立ち普通に観光客が往来している。

ガイドが行きたいと言ってたのが、パンテオンの近くにある”サンタ・マリア・ソープラ・ミネルヴァ聖堂”(Basilica di Santa Maria Sopra Minerva)。ローマでは珍しいゴチック様式の教会、シエナの聖カトリーヌの遺体が安置されているので、シエナ出身のガイドは来たかったのだろう。思いがけずミケランジェロの作品を生で見れたのには感激した。実は撮影禁止だが、撮らせていただいた。

街中では車椅子のグループの人たちがテレビカメラに向かって訴えをしていた。「私のように車椅子でここを動いてみて」と言ってるらしかった。こちらのテントがその人たちのブースらしい。選挙期間中なので自分たちの主張をすることは世論を高めるのには良い機会だ。

つづく。

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