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日々の出来事

2020/03/04

美しい村・フォンタネッラート/Fontanellato

(*写真をクリックすると大きくなります)

「世界で最も美しい村」連合という組織があって、日本、フランス、ベルギー、イタリア、スペインなどが加盟している。「生活の営みにより形成されてきた景観・環境や地域の伝統文化を守り、 これらを活用することで観光的付加価値を高め、地域の資源の保護と地域経済の発展に寄与することを目的」としている。世界遺産が多いイタリアだが、「美しい村」も登録数最多で2019年で281のコムーネが登録されている。「イタリアで最も美しい村」(イタリア語サイト)は見るだけでも楽しい。しかし、イタリア語なので、よくわからない。ある日、『「イタリアの最も美しい村」全踏破の旅』(吉村和敏著、講談社)という本が出版されたことを知った。もちろん日本人のカメラマンが日本語で解説を書いている。全ページカラー写真なので、かなりお高い本だが、迷いに迷って買った。この2年近く写真を眺めながら行ってみたい村に印を付けて、どんな人里離れたところなのか、どんな暮らしぶりがあるのか、どんな景観なのかと妄想にふける。いざ行くとなると、予算と時間と相談なので、10数箇所に印を付けてガイドに連絡すると「そんなに行けるわけない」とあっさり却下されたが、5ケ所行くことができた。

フォンタネッラート/Fontanellatoはエミリア・ロマーニャ州パルマ県の国道に近い小高い丘にある。品の良い家が並ぶ新市街を抜けて坂道を登り城門をくぐると丸い石を敷き詰めた石畳の旧市街に入る。

旧市街の中心には、いかにも中世の要塞を思わせる城があった。周囲には堀を巡らし、堀には今でも水が張られている。戦後まで貴族が暮らし、今は博物館と役場になっているというROCCA SANVITALE。わずか8€で、ガイド付きで博物館内を案内してもらえる。残念ながら館内撮影禁止のため、外観しか紹介できない。

ROCCA SANVITALEは12世紀に要塞として作られ、サンヴィターレ家の居城として増築されていった。時代によって部屋の作り方が違うのだが、床のモザイク模様も時代を反映しているという。騎士の武具や道具類、貴族の暮らしぶりがわかる調度品、食器類、衣装などが保存されている。とても興味を惹かれたのは金庫で、蓋の裏側に仕掛けられた複雑な鍵と金具だ。金具の状態が分かるように展示されていた。あー、どれだけの金貨銀貨がここに入れられていたのだろう・・・
1階の暗い部屋にパルマ出身の画家パルミジャニーノ (Parmigianino)が描いたフレスコ画が残されている。天井に近いところから部屋をぐるっと囲むように、ギリシャ神話を題材にした、女神ダイアナに鹿にされて犬に殺された、「ディアーナとアクタイオン」。1524年パルミジャニーノ21歳の作品。この絵を見るだけでも、この城にきた価値があるという。写真を撮らせてもらえなかったのは残念!

   

城の外塀の角3カ所に円筒状構造物があり、監視小屋なのだろう。その1カ所に入らせてもらった。カメラの原理を応用し、外の様子を内側の白い画面に反射させて映し出す仕掛けが作られていた。2代前の城主(20世紀初頭か?)が考案したということだ。

   

この城の見学が終わったあと、ゆっくり街中を散策するつもりでいたのだが、気がかりなことがあって、ゆっくりできなかった。スルーガイドに支払うお金をおろさなくてはならなかった。お城の裏に回った時、ちょうど良いタイミングでATMを見つけて、しかし、道路に面した建物の壁に張り付いている機械、後ろから誰かこないか気になりながら、慣れない機械でやっとお金をおろした。後ろを振り向くと、あっ!やっぱり人が待ってた(><;)。もう少し時間が欲しかったが、これで1つ目の「美しい村」の訪問は終了した。