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お爺さんの伝言1

戦時下の青春

 〜旧満州、ソ連抑留の八年間〜

まえがき

このページは昨年90歳で永眠した父の戦争体験を伝えるために綴ったページです。10年ほど前に地域で戦争体験を聞き書きするグループの皆さんによって文章として残していただきました。

父は病床で死の直前まで「戦争はしてはいけない」と言い続けていました。それを言い続けるのは悲惨な戦争から生き残った者のつとめ、次の世代に二度と同じ体験はさせたくない、との願いが込められていたのだと思います。

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戦後68年が過ぎ戦争を体験した人が少なくなりました。日本人と近隣諸国が経験した悲惨な戦争の本当の姿を知る人がいなくなると歴史の本当の姿が伝えられなくなります。
現に政治家の中には「南京大虐殺などなかった」と嘘を平気で言う人もいます。戦争を知らないお坊ちゃん首相は「積極的平和主義」とか「集団的自衛権の行使」と言って憲法の解釈を変えて、軍事行動が出来るようにしようとしています。
昨年12月多くの国民の反対を押し切って「特定秘密保護法」が強行採決され成立しました。政府が「秘密」と決めたことは、国民に知らされなくなるのです。
今、戦前に似てきていると言われています。情報が操作され、真実が伝えられなくなり、いつの間にか、皆同じ方向を向いて破滅の道を歩み始めていたのです。

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70年前、前線に送り出された兵士が体験した事は何か、あの、戦争は何だったのか、日本人は何故戦争に駆り出されていったのか、一人の若者の体験を通して読み解いていただければと思います。

残念ながら、この体験記には目を覆うような悲惨な場面は一つもありません。鉄砲を打ち合う場面もありません。もし、そのような体験があっても言葉にできなかったのかもしれません。

文章に書かれてない私が聞いた部分は脚注に付け加えます。

憲法や社会制度など社会の背景が今とは全く異なる時代です。その事を理解しながら読んでいただけるように脚注を加えました。

このページを読んでくれたあなたの身近にもまだ戦争の記憶を持つ人がいると思います。今のうちに、体験を聞いてください。そして、それを忘れないように、次の世代に伝えてください。
戦争の真実とは何かをご自身の手で探ってみてください。

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脚注

【特定秘密保護法】秘密保護法(特定秘密の保護に関する法律)とは、漏えいすると国の安全保障に著しい支障を与えるとされる情報を「特定秘密」に指定し、それを取り扱う人を調査・管理し、それを外部に知らせたり、外部から知ろうとしたりする人などを処罰することによって、「特定秘密」を守ろうとするもの(日弁連サイトより、Q&A)2013年12月6日成立、12月13日公布